ラッセル・クロウ主演の『ビューティフル・マインド』とドキュメンタリーの『ビューティ・マインド/狂気の天才数学者、ジョン・ナッシュの人生』を続けて観た。
映画『ビューティフル・マインド』では統合失調症(精神分裂病)で幻聴や妄想があらわれるようになった天才数学者ジョン・ナッシュをラッセル・クロウが演じる。彼の演技に引きずり込まれるようにして観たが、後から観たドキュメンタリーのほうが面白かった。このドキュメンタリーにはジョン・ナッシュ氏ご本人が出演されている。若い時の彼はラッセル・クロウよりもずっとハンサムだ。「近づきがたい印象」はあるけれど、もてなかったなんて信じられない。
映画『ビューティフル・マインド』はラブストーリーでもあり、ジョン・ナッシュの結婚暦が事実とは違う「妻が添い遂げる」という形で描かれている。映画だけを観ても感動したのだけれど、ドキュメンタリーを観て「真実はそう簡単にはいかない」という深みを知ると、映画の感動が薄っぺらなものに思えてくる。
ドキュメンタリーの中で、ジョン・ナッシュが言う。
ある意味で正気とは一種の適合なんだよ
精神病患者は病んでいると考えられがちだけど
そんなに単純なモノじゃない
精神病や狂気というのは逃避でもあるんだ
ノーベル賞を受賞するということは偉業なのだけれど、それよりも、幻聴や妄想と折り合いをつけ、失意の時をも生き抜いてきたジョン・ナッシュの人生こそが偉業なのだと、年老いた彼の落ち着いた表情を見ながら思った。